FIRE COLUMN

FIREしても株価が気になった僕が、投資との距離を見直した話

投資との向き合い方
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FIREを目指して投資を始めたのに、毎日株価を確認して落ち着かない。資産が増えている日も、もっと増やせる銘柄があるのではないかと考えてしまう。

FIREを目指して投資を始めたのに、毎日株価を確認して落ち着かない。資産が増えている日も、もっと増やせる銘柄があるのではないかと考えてしまう。

僕は30歳で資産6,000万円を作り、サイドFIREに入りました。投資で人生の選択肢が増えた一方、仮想通貨などで大きな損失を経験したこともあります。その両方を知ったからこそ、投資は人生を自由にする道具にも、人生を縛る習慣にもなると感じています。

この記事でいう「投資病」は医学的な診断名ではありません。長期投資の方針を変える必要がないのに、数字を見ないと不安になる状態を、僕なりにそう呼んでいます。投資をやめる話ではなく、投資を人生の主役から道具へ戻すための方法です。

自由になるための投資が、自由を奪っていないか

FIREの目的は、会社や生活費に人生を全部預けないことです。そのために節約し、働き、投資する。ここまでは自然な流れです。

問題は、会社から離れるために始めた投資が、朝から晩まで頭の中を占領することです。長期で持つ予定の投資信託を数時間おきに確認しても、今日の売買判断が変わるわけではありません。それでもアプリを開くなら、見ているのは相場ではなく、自分の不安かもしれません。

資産が増えた日も安心して終われないことがあります。もっと上がる銘柄を探し、他人の利益報告と比べ、買わなかった後悔をする。下落だけでなく上昇も、次の刺激を求めるきっかけになります。

数字は見やすいが、幸福は見えにくい

資産額、利回り、配当、FIREまでの残り年数。数字は比較しやすく、増減もすぐ分かります。

一方で、子どもと笑った回数、家族の話を最後まで聞けたか、友人とくだらない話をしたか、身体の調子がよかったかは、証券アプリには表示されません。測れるものばかりを毎日確認していると、測りにくいものを雑に扱い始めます。

投資のポートフォリオを見直すのは大切です。でも、時間のポートフォリオも同じように見直したい。お金を増やす時間と、家族・健康・友人・創作に使う時間の配分が崩れていないかを確認する必要があります。

投資病から距離を取るための5つの工夫

1. 証券アプリを一軍の画面から外す

ホーム画面の最初に置かない、株価ウィジェットを消す、価格通知を切る。必要ならログアウトして、見るまでに一手間かかる状態にします。

気合いで我慢するより、見たくなるきっかけを減らすほうが続きます。自制心を鍛えるより、誘惑との距離を変えるほうが現実的です。

2. 確認する曜日と目的を先に決める

長期投資なら、月に一度、積立や資産配分を確認するだけでも足りる人がいます。短期売買なら、取引時間が終わったら閉じるというルールを作る。重要なのは「気になったら見る」ではなく、「この目的のために、この時間だけ見る」と決めることです。

3. 朝一番に、自分の生活を確認する

起きてすぐ株価を見ると、その日の機嫌を会ったこともない投資家の売買に預けることになります。家族に挨拶する、散歩をする、今日やりたいことを一つ書く。自分の人生を先に確認してから、相場を確認する順番に変えてみます。

4. 金融資産以外の「幸福資産」を持つ

僕の場合は、妻と話す時間、子どもの成長、ラーメン、散歩、創作、コミュニティでの交流です。人によっては、料理、運動、音楽、地域の友人、ペットかもしれません。

株価だけが幸福の収入源だと、相場が下がった日に人生全体が下落します。複数の楽しみを持っていれば、金融資産が一時的に下がっても、生活のすべてまで崩れません。

5. 金額ではなく、困ったときのルールを決める

「あと1,000万円あれば安心」と考え続けると、目標には終わりがありません。資産が減ったら支出をどこまで調整するか、どの程度なら働けるか、家族とどう相談するかを決めます。

FIREは、一生働かないと誓う制度ではありません。必要なら短時間の仕事をする、収入源を一つ試す、支出を一時的に下げる。次の行動が見えていれば、チャートを監視し続けなくても済みます。

家族を守る投資が、家族との時間を壊していないか

「家族のために資産形成している」という理由は、数字を見続ける強い言い訳になります。でも、家族の未来を守るために、今日の家族との時間を失っていたら本末転倒です。

子どものために投資しながら、目の前の子どもの話を聞いていない。妻を安心させるために資産を増やしながら、相場が下がった日に不機嫌をぶつける。未来の安心と現在の安心を、どちらか一方にしないことが大切です。

若さ、健康、家族との時間は、相場の回復を待って取り戻せる資産ではありません。投資に使う時間と、投資の成果を使って生きる時間を、同じ家計簿の中で考えたいところです。

投資家にとっての本当の機会損失

投資では、「あの銘柄を買わなかった」「暴落で買えなかった」といった機会損失を気にします。しかし、人生で大きな機会損失になるのは、資産を増やすことに夢中になり、使う機会を逃すことかもしれません。

  • 会いたい人に会わない
  • 家族と出かけられる時期を逃す
  • やってみたいことを、資産が減るからと先延ばしする
  • 旅行中もチャートを見て、その場の景色を受け取れない

投資は人生を良くする手段です。手段の成績を上げることが、目的そのものに変わらないようにしたいと思います。

自分が投資病か確かめるチェック

次の質問に、正直に答えてみてください。

  • 一週間、株価を見なくても平気か
  • 旅行中に証券アプリを開かずにいられるか
  • 資産が減った日も、家族への態度を保てるか
  • 資産額以外に、最近楽しみにしているものを3つ言えるか
  • 数字を見ても、売買などの行動が変わらない日が多くないか

いくつも当てはまるなら、投資をやめるのではなく、投資との距離を調整するタイミングです。アプリを隠す、確認日を決める、家族との予定を先に入れる。小さな変更から始められます。

まずは7日間、投資との距離を測ってみる

いきなり「二度と株価を見ない」と決める必要はありません。7日間だけ、見る回数と、その直前の気持ちを記録してみます。

  1. 証券アプリを開いた時刻と回数をメモする
  2. 開く前に、必要な確認なのか、不安を抑えたいのかを書く
  3. 通知とウィジェットを一度すべて切る
  4. 長期投資なら、確認する曜日と目的を一つに決める
  5. 浮いた時間に、家族との予定や散歩を先に入れる

記録すると、「相場を確認したから安心した」のではなく、「不安になったから確認していた」と気づくことがあります。気づければ、アプリを消す、確認を週一回にする、家族に今の状態を話すなど、具体的な対策を選べます。

投資を続けるためにも、見ない時間を設計する

投資との距離を取ることは、投資を軽視することではありません。方針を決め、必要な点検をし、それ以外の時間を生活に返すということです。

家計の見直し日、積立設定の確認日、税金や制度の確認日を決めておけば、毎日の値動きを追わなくても、管理の抜けは減らせます。投資を続けるための仕組みと、投資から離れるための仕組みを、同時に作っておくのが現実的です。

投資方針を一枚に書いておく

不安な日に判断を変えないために、自分の投資方針を短く書いておくのも有効です。何のために投資するのか、いつ使うお金なのか、どの程度の下落なら想定内なのか、資産が減ったときに働くのか支出を下げるのか。

普段は当たり前に見える方針でも、相場が急落すると忘れます。アプリの数字を見る前に、自分で書いたルールを読む。これだけでも、ニュースやSNSの勢いだけで売買する危険を減らせます。

自分で整理しても不安が強く、生活や睡眠に影響しているなら、投資の問題だけではない可能性があります。家族や信頼できる専門家へ相談し、一人で抱え込まないことも投資管理の一部です。

投資の点検日は、暮らしの点検日でもあります。資産配分を確認した後に、家族との予定、健康、使う予定のお金も一緒に確認する。お金の安全と、今日の満足を同じ計画に入れておけば、投資が生活から切り離されず、生活を支える道具として機能しやすくなります。

家族と「株価を見ない時間」を共有する

自分だけがアプリを閉じても、家族の前で相場の話ばかりしていれば、空気は変わりません。旅行中は証券アプリを開かない、食事中は投資の通知を見ない、相場が荒れた日は家族へ不機嫌をぶつけない。家庭の中で小さなルールを共有します。

ルールは、投資を我慢するためではなく、投資の成果を家族との時間に戻すためのものです。子どもの話を聞く、妻と次の予定を決める、友人へ連絡する。チャートから離れた時間に、金融資産以外の資産を育てていきます。

まとめ:投資は主人公ではなく、人生の道具

投資のおかげで、会社を辞める選択肢や家族と過ごす時間を得られました。だから投資には感謝しています。同時に、投資で勝っているときも負けているときも、人生が相場に引っ張られる危うさを経験しました。

本当の経済的自由は、資産額が大きいことだけではありません。株価を見なくても機嫌よく暮らせること、必要なら次の一手を選べること、資産を使って今日を生きられることです。

あなたが主人公で、投資は道具。道具に人生の行き先や今日の機嫌を決めさせない。この関係に戻せれば、投資はもう一度、自由のための味方になります。

参考にした公開note:投資病を治そう。人生を悪化させる資本主義の犬たちへ